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コラム
第4回【停滞】 20年やっても迷う。のらりくらり過ごした10年の正直な話


バイク屋として独立し、がむしゃらに駆け抜けて20年が過ぎた頃。 私は、自分でも予期していなかった「足踏み」の時期を迎えます。
それまでの「一台でも多く、少しでも速く」という情熱の炎が、ふとした瞬間に弱まってしまったのです。 私的な理由もあり、仕事に対して以前のような120%の力を注げなくなっていました。
周りから見れば、普通に店を開け、普通に商売を続けていたかもしれません。 でも、自分の中では「のらりくらり」と、ただ日々をやり過ごしているような感覚がありました。 正直に言えば、バイク屋としての看板を下ろそうかと考えたことも、一度や二度ではありません。
それでも私が辞めなかった——正確には「辞めきれなかった」のは、時折ふらっと立ち寄ってくれるお客様の存在があったからです。
「ここで買ったバイク、まだ元気に走ってるよ」 「やっぱり、中嶋さんに見てほしいんだ」
そんな言葉をいただくたびに、自分の中にまだ消えていない小さな火種があることに気づかされました。 情熱が薄れた時期があったからこそ、今、改めてバイクと向き合うことの尊さがわかります。 完璧な人間でも、完璧なバイク屋でもありません。 でも、迷い、停滞し、それでも看板を守り抜いてきたこの10年間は、私に「長く続けることの難しさと大切さ」を教えてくれました。 』
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